デジタル技術による施工計画の精緻化で工事のムリ・ムダをなくす。
「事業を通じて地域社会の発展に貢献する」ことを経営理念に掲げる今井産業株式会社は、変化を恐れず挑戦を続ける「Change to Challenge」精神で、島根県の建設業界の未来を切り開いている総合建設会社です。複数の施工会社が関わる大規模な土木工事では定期的に土配進捗会議が行われていましたが、多くの施工会社がダンプトラックの台数をもとに進捗を報告していました。しかし、こうした報告方法では、土砂搬出を予定していた現場が急遽対応できなくなったり、受け入れ可能だった現場での受け入れができなくなるなど、現場間の連携がうまくいかず、工事の中断を余儀なくされることが多々ありました。このような状況は、現場全体の効率性を著しく低下させるだけでなく、プロジェクト全体の進行にも大きな影響を与えていました。
今井産業株式会社は、この問題を解決するために、より精度の高いデータ共有と進捗管理の必要性を強く認識しました。自工区だけでなく、他工区とも正確な情報を共有することで、全体のムリ・ムダをなくし、生産性を最大化できると思ったのです。
今井産業株式会社は2015年よりICT建設機械による情報化施工をいち早く開始しています。2018年には「Smart Construction®」を導入し、現場での高精度なデータ取得、データ共有、進捗管理を実現しています。現在は、「Smart Construction Edge」による現場地形の3次元化や、「Smart Construction 3D Machine Guidance」による従来型建設機械のICT化、「Smart Construction Fleet」によるダンプトラックの動態管理、「Smart Construction Dashboard」による3次元データの可視化および進捗管理、「Smart Construction Simulation」による施工計画の精緻化などさまざまな形でICT施工に取り組んでいます。さらに、若手を中心とした「技術推進室」を設立し、これらの新技術の社内展開・サポートを実施しています。さらに、若手を中心とした「技術推進室」を設立し、これらの新技術の社内展開・サポートを実施しています。
今井産業株式会社は、これまで取り組んでいたデータ活用による進捗管理を基盤とし、国土交通省の「ICT施工StageⅡ」に対応した施工計画と予実管理で更なる生産性向上にチャレンジしました。対象となる工事は、掘削100,000㎥、盛土90,000㎥、場外搬出10,000㎥の道路改良工事です。土砂運搬が工事エリア内で完結しないため、正確な土量管理を基に、他現場と工程調整をして土配計画を立てる必要がありました。
本現場におけるICT施工StageⅡの実施項目は全部で10項目ですが、本記事では、③予実管理のうち(1)掘削・盛土工程における工程進捗管理による実工程に適した資機材等調整、(2)掘削・盛土工程における工程進捗管理による実工程に適した土配管理(複数現場)と、参考項目の Ⅰ.データに基づく工程の立案による施工計画の精緻化の取り組みについてご紹介します。
ステップ1:シミュレーションを活用した当初計画の妥当性検証
まず、当初計画の妥当性を検証するためにシミュレーションを実施し、工期に余裕を持たせた無理のない改善計画へと見直しを行いました。その結果、1か月分の運搬期間短縮と後工程の余裕(週休2日を実現)を確保できました。この取り組みはICT施工StageⅡの参考項目Ⅰ「データに基づく工程の立案による施工計画の精緻化」に該当します。
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次に、実際の運搬実績データを活用し、計画の精緻化を行いました。シミュレーション結果はあくまで施工前の参考値であるため、実績データを取得し、その値をもとに再度シミュレーションを実施することで、より正確な施工計画の作成が可能になります。この取り組みはICT施工StageⅡの参考項目Ⅰ「データに基づく工程の立案による施工計画の精緻化」に該当します。
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ステップ3では、発注者、協力会社、そして搬出先の現場監督を交えて、定期的に進捗会議を実施しました。会議では、実績の土量進捗とシミュレーション結果を相互に確認しながら、再計画時のダンプトラックの台数を調整します。正確な情報を共有することで、施工における無理や無駄を削減し、より効率的な作業計画の策定が可能になります。その結果、68台分(人・日)の省人化と510万円の工事費を削減できました。この取り組みはICT施工StageⅡの参考項目Ⅰ「データに基づく工程の立案による施工計画の精緻化」に該当します。この取り組みはICT施工StageⅡの予実管理の「(1)掘削・盛土工程における工程進捗管理による実工程に適した資機材等調整」、「(2)掘削・盛土工程における工程進捗管理による実工程に適した土配管理(複数現場)」、参考項目Ⅰ「データに基づく工程の立案による施工計画の精緻化」に該当します。
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本工事では、ボックスカルバート部の盛土作業が工程全体の進捗を左右する重要な作業となっており、従来は図面作成と土量算出を経て運搬ルートを協議する必要がありましたが、シミュレーションを実施することにより、土量や形状を迅速に把握できるようになりました。これにより、都度図面を作成する手間が省かれ、作業負担は従来の約1/10に削減することができました。
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・現況点群データ活用による台風対策
最新の3次元地形データ活用し、台風接近前に想定される降雨量に対する水の流れを可視化しました。降雨の影響による法面崩壊や土砂流出が発生すると、ダンプトラックの走路が塞がれる恐れがありましたが、事前に集水箇所を特定することで、適切な対策を講じることができました。その結果、降雨後の作業においてボトルネックとなり得る法面崩壊や土砂流出を未然に防ぎ、作業員の安全及びダンプトラックの走路確保ができました。
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今井産業株式会社は2015年から、ICT建設機械を活用した情報化施工にいち早く取り組んできました。さらに2018年には「Smart Construction®」を導入し、現場での高精度なデータ取得、データ共有、進捗管理を行っています。今回の道路改良工事(掘削100,000㎥、盛土90,000㎥、場外搬出10,000㎥)では、国土交通省の「ICT施工StageⅡ」に対応した施工計画・予実管理に挑戦し、以下のステップを踏むことで大幅な工期短縮や工程の柔軟な見直しを実現しました。
今井産業株式会社は、島根県を拠点に、土木・建築工事、不動産業、リサイクル事業を展開する総合建設会社です。地域社会への貢献を重視し、豊かな自然資源を活かして、持続可能な未来の実現を目指しています。工事技術や不動産開発、環境保護を通じて、地域と共に成長し続ける企業です。
島根県、日本
元請
道路工事
掘削 100,000㎥
盛土 90,000㎥
場外搬出 10,000㎥