シミュレーションによる運搬工程の最適化で、1か月の工期短縮と柔軟な工程調整を実現。
複数の施工会社が関わる大規模な土木工事では、定期的な土配進捗会議で各社がダンプトラックの台数を基に進捗報告を行っています。しかし、こうした報告方法では、土砂搬出を予定していた現場が急遽対応できなくなったり、受け入れ可能だった現場での受け入れができなくなるなど、現場間の連携がうまくいかず、工事の中断を余儀なくされることが多々ありました。
こうした状況を受け、島根県の総合建設会社である今井産業株式会社は、自工区だけでなく他工区とも正確な情報を共有し、全体のムリ・ムダを排除して生産性を最大化するため、より精度の高いデータ共有と進捗管理の必要性を強く認識しました。
しかし、従来の方法では、複数の工程を同時に実施する計画において、ダンプトラックの台数の増減による稼働率の変化を十分に考慮することが困難であり、他工区に自工区の施工計画を共有する前に妥当性を検証することに課題を感じていました。
今回の現場では、運搬ルートとして 「場内ルートA」「場内ルートB」「他現場搬出」 の3つを設定しました。他現場搬出については、搬出先の現場の工程を考慮しながら進める計画です。当初の計画では、10tダンプトラック4台を使用し、まず場内ルートAから運搬を開始。並行して他現場への搬出も実施し、盛土エリアのボックスカルバート部の盛土が完了次第、場内ルートBへ切り替えて施工を進める予定でした。しかし、「Smart Construction Simulation」によるシミュレーションの結果、当初の計画では2月末の運搬完了予定に対してスケジュールの余裕がなく、仕上げ工程への影響が懸念されました。この問題を解決するため、改善計画として 10tダンプトラックの台数を4台から8台に増やし、運搬可能なボックスカルバート手前側(右側)を先行して盛土を開始。さらに、場内ルートAと並行して場内ルートBでの運搬も進めるように設定し、シミュレーションを実施しました。その結果、1か月分の運搬期間短縮と後工程の余裕(週休2日を実現)が確保でき、運搬作業の期間を短縮できることが確認できたため、改善計画の内容で工を進めることにしました。
従来は、複数の工程を同時に実施する計画を立てる際にダンプトラックの台数の増減による稼働率の変化を考慮した上で検討することは困難でした。しかし、「Smart Construction Simulation」にを活用することで、下記の参考図のように工程の違いによるダンプトラックの稼働率や周回数の変化について数値で確認することができ、施工前に運搬計画の妥当性を検証できるようになりました。
今井産業株式会社は、島根県を拠点に、土木・建築工事、不動産業、リサイクル事業を展開する総合建設会社です。地域社会への貢献を重視し、豊かな自然資源を活かして、持続可能な未来の実現を目指しています。工事技術や不動産開発、環境保護を通じて、地域と共に成長し続ける企業です。
島根県、日本
元請
道路工事
掘削 100,000㎥
盛土 90,000㎥
場外搬出 10,000㎥