現場成功のカギは「計画」にある
日本の建設業界は現在、深刻な課題に直面しています。加速する人手不足や、インフレーションによる建設費の高騰、さらには労務費や資材費の増加が業界全体に大きな影響を与えています。これらの要因は外部環境に起因するものであり、企業努力だけで解決するのは難しい状況です。こうした課題が原因で、現場では無駄なコストや時間が増大し、効率的な施工がますます困難になっています。
例えば、「現場で計画どおりに作業が進まず、想定外のコストや時間がかかってしまう」といった問題は、従来の施工現場では頻繁に発生してきました。これらの多くは計画不足や、計画と現場実態のズレが原因であり、工事が進むにつれて不可避な“その場対応”や“現場合わせ”が発生するため、無駄な手戻りや作業の重複を引き起こしているのです。お客様からも「事務作業などの業務も多く、肝心な施工計画になかなか時間がさけない」「経験で計画や対策を組み立てるけれど、数値でみないと、”なんとなく”で終わってしまい、効果的なのかわからない」「計画と進捗のギャップを精度高く簡単に把握する方法がない」という声をいただきます。
このような厳しい状況下においても、これらの課題を克服し、効率を最大化する方法があります。それは、施工前に高精度な計画を立て、それを施工中の実績に基づいて継続的にブラッシュアップしていくことです。精度の高い計画があれば、現場での手戻りを最小化し、限られた人材やリソースを効率的に活用することができます。また、計画と現場をスムーズに連携させることで、無駄なコストを削減し、競争力を維持することが可能となるでしょう。
例えば、ダンプトラック10台で50日かかる工事があるとします。この場合、1日あたり1台のコストが8万円だとすると、トータルコストは約4,000万円になります。施工開始前に、ダンプトラックのサイクルタイムや待機時間を事前に分析し、最適な運行台数や稼働計画を立てておけば、より生産性高く施工を始められます。さらに施工開始後にサイクルタイムや待機時間を再度分析した結果、10台で運行するより7台に減らした方が待機時間が短縮され、効率が上がることがわかりました。計画を見直してダンプトラック1台あたりの1日運搬量を20%改善した結果、施工日数は50日から約59.52日に増えましたが、トータルコストは約667万円削減でき、3,333万円ほどに抑えることができました。
このように、施工前の計画の精度を高め、施工中の実績を即時にフィードバックして施工計画の改善を重ねることで、大きな効果を生み出すことができます。従来の計画立案方法は、経験や勘に頼るケースが多く、数値やシミュレーションによる分析が不足していることで、計画に曖昧な部分が残り、現場での調整が頻発するため、計画精度を高められるのは熟練者に限られるという課題がありました。しかし、デジタル技術を活用すれば、計画と実績の両方の具体的な数値が「見える化」され、AIによるシミュレーションも可能になるため、経験が浅い若手の現場監督でも高精度な施工計画を立てられるようになります。これにより、生産性の向上、コスト削減、省人化が実現できます。また、建設業界全体でデジタル技術の活用が進むことで、人手不足という大きな課題への対応も期待されています。
国土交通省は近年、「ICT施工StageⅡ」という新しい取り組みを開始しました。この取り組みでは、建設現場の情報をリアルタイムで「見える化」し、計画と実績のズレを最小化するように工程の見直しや作業効率化を図ることで、更なる省人化を目指しています。
国土交通省はこれまで、建設生産プロセスの抜本的な生産性向上を目指して「i-Construction」を推進し、測量、3次元設計、ICT建機、出来形管理など、作業単位での効率化を進めてきました。そして、これらの従来の取り組みを「ICT施工StageⅠ」と位置づけ、工事全体を視野に入れた「ICT施工StageⅡ」を新たに提唱したのです。
ICT施工StageⅡの要領案では、施工管理において実績データをどのように活用するかが提示されています。現在、その対象となる工事は、ICT活用工事の普及が進んでいる土工事です。
また、ICT施工StageⅡでは、以下のいずれかの項目を実施する工事が対象となります。この取り組みを始めるには、工事全体の状況をデータで「見える化」する必要があり、現場地形や設計データの3次元化、建機のICT化、ダンプトラックの稼働状況の「見える化」などが求められるため、様々なツールの導入が不可欠です。
ICT施工を今すぐ始めたいけれど、どの会社のどのツールを導入すればよいか迷っている方には、SmartConstruction®をおすすめします。Smart Construction®は、高精度な施工計画を作成するソリューションに加えて、ICT施工StageⅠからStageⅡの実現を支援する包括的なソリューションを提供しています。お客様毎に課題や解決策は異なりますが、Smart Construction®のツールを組み合わせることで、より効率的で精度の高い施工を実現できます。
特に、Smart Construction Simulationを活用することで、施工前に工程をシミュレーションし、最適な施工手順や必要なリソースを事前に検討できます。これにより、計画制度をさらに高め、ICT施工StageⅡの効果を最大化できます。
これらの様々なツール(デバイスとアプリ)を組み合わせて活用することで、効率的かつ高精度なICT施工をスムーズに始めることができるだけでなく、他社との差別化を図り、次世代の建設業界における競争優位性を確立することが期待できます。
ICT施工StageⅡの具体的な実施項目の解説や、実際にSmartConstruction®を導入してICT施工StageⅡを実現したお客様の事例については、ぜひ関連事例をご覧ください。
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