初めに
ドローン測量では、ドローンを飛ばして写真を撮影します。しかし、「写真を撮ること」がゴールではありません。撮影したたくさんの写真から現場を3次元データとして再現し、土量の確認や施工管理などに活用することが重要です。そのときに使われる代表的な3次元データが「点群」です。本記事では、点群測量を初めて知る方にもイメージしやすいように、Smart Construction Edgeで写真から点群が作られる仕組みを順番に紹介します。
そもそも「点群」とは?
点群とは、その名前のとおり「たくさんの点が集まった3次元データ」です。一つひとつの点には、X座標・Y座標・Z座標という位置情報があります。簡単に言えば、「その点が、どの位置・どの高さにあるのか」という情報を持っています。
このような点が数百万~数千万集まることで、地面の起伏や構造物など、現場の形を3次元で表現できます。また、点群には色の情報(RGB)が付けられることも多いため、実際の写真に近い見た目で現場を確認することもできます。
写真から、なぜ3次元データを作れるの?
ドローンが撮影するのは通常の「写真」です。写真そのものは平面なのに、なぜそこから立体的な3次元データを作ることができるのでしょうか。そのために使われる代表的な技術が「SfM(Structure from Motion)」です。
複数の写真から3次元形状を再現
SfMは、異なる位置から撮影した複数枚の写真を使って、撮影した場所の形を3次元的に再現する技術です。複数の写真に共通して写っている特徴を探し、写真同士の対応関係からカメラの位置や姿勢、対象物の位置関係を計算します。
位置情報を組み合わせて点群を生成
Smart Construction EdgeでもSfM技術を利用して点群を生成します。さらにPPKやRTKによる位置情報を組み合わせ、写真から作った3次元データに位置情報を与え、工事測量で活用できる点群を作成します。
Smart Construction Edgeでは、どのように点群を作る?
Smart Construction Edgeでは、おおむね次のような流れで点群を生成します。
写真を読み込む
ドローンで撮影した写真をSmart Construction Edgeへ読み込みます。
位置情報を解析する
PPKまたはRTKによる位置情報を解析します。
カメラ位置を推定する
SfMによって撮影時のカメラ位置などを推定します。
共通する特徴を探す
複数の写真に写る同じ場所や特徴を照合します。
点群を生成する
写真同士の対応関係をもとに3次元形状を復元します。
必要なデータを生成する
必要に応じてオルソ画像、DSM、DTMなどを生成します。
「点群密度」とは?
点群密度とは、簡単に言えば「どのくらい細かく点を配置して、現場を表現するか」という考え方です。点が多くなるほど地形の細かな形状を表現しやすくなりますが、データ量や処理負荷も大きくなります。そのため、何に使うのかによって適切な密度を選ぶことが大切です。
標準密度
広い現場に適した設定です。最大約50haまで処理できます。
中密度
起工測量などに適した設定です。精度と処理速度のバランスに優れています。
高密度
出来形管理など、より詳細な点群が必要となる場面で利用します。
超高密度
i-Constructionの出来形測量など、高密度な点群が必要となる現場向けの設定です。
点群密度を高くすると、何が変わる?
例えば法面では、点群密度が低いと細かな凹凸や形状を十分に表現できないことがあります。点群密度を高くすると、法肩、法尻、小段、排水構造といった部分も、より細かく表現しやすくなります。
標準密度

広い現場を点群化する場合などに利用します。
高密度

より詳細な地形や形状を確認しやすくなります。
超高密度

高密度な点群が必要となる用途に利用します。
なぜ「不要物」を除去する必要がある?
ドローンで現場を撮影すると、地面だけでなく、建物、車両、植生、養生シートなども一緒に写ります。写真から点群を作れば、これらも3次元データとして点群に含まれます。しかし、土量を計算する場合に必要なのは、車両や植生の高さではなく「地盤面」です。そこで必要になるのが「不要物除去」です。
Smart Construction Edgeでは、点群生成後にAIを活用して点群を分類します。分類対象には、建物、車両、路面、低植生、養生シートなどがあります。こうした分類結果を利用して不要な点を除去することで、施工管理や土量計算などに利用しやすい点群を作成できます。
不要物除去前

不要物除去後

AIを活用して建物・車両・植生などを分類し、目的に応じて不要な点を除去します。画像:Smart Construction公式サイト
DSM・DTM・DEMって何?
不要物除去を理解するうえで知っておきたいのが、「DSM」「DTM」「DEM」という言葉です。まずは「何を高さとして表現しているのか」という違いで考えると分かりやすくなります。
地表面にあるものを含めた高さ
DSM(Digital Surface Model)は、地面の上にあるものも含めて表現したモデルです。建物、樹木、重機などがあれば、それらの高さも含めて表現します。
地盤面を表した高さ
DTM(Digital Terrain Model)は、建物や植生などを除去し、地盤面を表現したモデルです。土量確認などで地盤そのものの高さを把握したい場合に重要です。
DEM(Digital Elevation Model)は、標高を表現するデジタルデータを指す言葉です。DSMやDTMを含む、標高モデルの総称として使われることがあります。Smart Construction Edgeでは、オルソ画像生成と不要物分析を有効にすることで、DSM・DTMを生成できます。
Smart Construction Edgeはなぜ高速なのか?
写真から点群を作るためには、たくさんの写真を解析する必要があります。一般的なクラウド型のSfM処理では、撮影した写真をクラウドサーバーへアップロードし、クラウド側で解析します。この方法では、写真のアップロード時間や通信環境の影響を受けることがあります。
一方、Smart Construction Edgeでは解析処理を本体内で行います。そのため、クラウドへ大量の写真をアップロードして解析開始を待つ必要がありません。資料では、2haの現場を最短約150秒で3次元データ化できることが紹介されています。撮影したデータを現場で処理し、その場で結果を確認できることがSmart Construction Edgeの大きな特徴です。
作った点群は何に使える?
大切なのは、「点群を作ること」そのものが目的ではないということです。作成した3次元データを施工管理へ活用することで、現場の状況をより効率的に把握できるようになります。
土量確認
点群から現場の地形を把握し、土量の確認に活用します。
出来形管理・精度検証
施工後の形状確認や測量成果の精度検証に活用します。
Dashboardで共有
3次元データをSmart Construction Dashboardで共有し、施工管理につなげます。
まとめ
今回は、Smart Construction Edgeによる点群生成の仕組みについて紹介しました。点群とは、たくさんの点で現場を表現した3次元データです。ドローンで撮影した複数の写真からSfMによって3次元形状を再現し、用途に合わせた点群密度を選択できます。また、AIを活用して不要物を分類し、地盤面のデータを作成することもできます。
ドローン測量では、写真を撮影することがゴールではありません。撮影した写真を3次元データへ変換し、さらに施工管理で使えるデータにすることではじめて、現場で活用できる情報になります。Smart Construction Edgeは、この「撮影したデータを、現場で使える3次元データへ変える」工程を支えるツールです。
