新技術へのワクワクが未来を切り開く! 働き方や施工のあり方を再定義する遠隔操作

今井産業株式会社は、島根県を拠点に、土木・建築工事、不動産業、リサイクル事業を展開する総合建設会社です。地域社会への貢献を重視し、豊かな自然資源を活かして、持続可能な未来の実現を目指しています。工事技術や不動産開発、環境保護を通じて、地域と共に成長し続ける企業です。

所在地

島根県、日本

区分

元請

工種

道路工事

課題

建設業界では、少子高齢化の影響による慢性的な人手不足が続いており、特に重機オペレーターの確保が大きな課題となっています。従来は1つの現場に1人のオペレーターが常駐する必要があり、人材不足が工事の受注や進行に影響するケースも少なくありません。また、重機オペレーターの業務は屋外作業が中心で、炎天下や悪天候など厳しい環境下での長時間作業を伴うことが多く、身体的負担や安全リスクが高い仕事とされてきました。こうした背景から、建設業界は「きつい・危険」といったイメージを持たれやすく、若年層や次世代の担い手に選ばれにくい状況が続いています。作業環境の厳しさは、人材の確保や定着を妨げる要因として、業界全体の課題となっています。

解決策

今井産業株式会社(以下、今井産業)は、人手不足や労働環境といった建設業界の課題に向き合いながら、新しい施工のあり方を模索する取り組みとして、Smart Construction Teleoperationの導入に踏み切りました。

本記事では、Smart Construction Teleoperationを実際に現場で使ってみたからこそ見えてきたメリットや課題、そして働き方の変化について、現場担当者の声をもとに掘り下げていきます。

テレオペモデル

インタビューご対応者

お客様インタビュー
お客様インタビュー

Interview Section
Q
今回ご導入いただいた商品を教えてください。
今井産業
遠隔操作に対応しているコマツの油圧ショベルPC200-11とSmart Construction Teleoperation一式を1か月間レンタルしました。建設機械とそれを遠隔操作するコクピットとの通信にはスターリンク(衛星インターネットサービス)を利用し、通信環境に応じバックアップ回線としてソフトバンクやNTTドコモの回線を用意しました。
Smart Construction Teleoperation

今井産業株式会社のSmart Construction Teleoperation運用構成

Teleoperation

※Smart Construction Teleoperationの運用構成は、現場の条件に応じて異なります。

Interview Section
Q
遠隔操作に関心を持ったきっかけは何ですか?
今井産業
昨年のパートナー技術交流会に参加し、EARTHBRAIN社にて遠隔操作システムを体験したことが関心を持つ大きな契機となりました。物理的距離を超えて建設機械を制御できる可能性に強く惹かれました。さらに、国土交通省の「i-Construction 2.0」に象徴される建設業界全体の自動化・遠隔化・データ連携の流れも導入検討の背景となりました。ICTやCIMとの連携により、施工効率や安全性の向上、人材不足への対応が期待できると考えています。そして何より、遠隔施工は単なる操作方法の変化ではなく、施工管理や人材配置、教育の在り方まで再定義しうる点に技術者として大きなワクワクを感じました。
Smart Construction Teleoperation

施工のオートメーション化 ロードマップ

Teleoperation

※出典:国土交通省 「施工のオートメーション化」

Interview Section
Q
導入に向けて不安に思ったことはなんでしょうか?
今井産業
最も不安だったのは、遠隔油圧ショベルが実際の現場で安定して稼働するかどうかでした。デモ機での操作と、実機を用いた本番環境では、通信環境や操作レスポンス、安全性など、技術的な条件が大きく異なります。特に、山間部や通信インフラが限定的な地域での運用には慎重な検証が必要でした。今回の取り組みは中国地方では初、全国的にも前例の少ない先進事例であり、参考となる導入モデルが存在しない中でのスタートでした。技術仕様の選定から運用体制の構築まで、すべてが手探りでの挑戦でした。
Interview Section
Q
導入を決めた理由・決め手は何でしたか?
今井産業
導入の決め手は、新技術への純粋なワクワク感と現場の強い熱意でした。特に徳富監理技術者や小城現場代理人の「未来を自分たちで切り拓く」という前向きな姿勢が大きな原動力となりました。加えて、中国地方整備局の制度的・技術的な支援により環境が整備され、官民連携の意義も強く感じました。遠隔油圧ショベルの導入は単なる機械の更新にとどまらず、働き方や施工の在り方を見直す契機であり、今こそ挑戦すべきタイミングだと判断しました。
施工履歴データ取得

デスクトップモデル

コックピット

遠隔対応油圧ショベル

遠隔対応油圧ショベル

Interview Section
Q
実際にどのようなシーンで利用しましたか?
今井産業
この現場では切った土をそのまま盛土に使えないところがあり、石灰を混ぜて土質改良する必要があります。今回はその切った土を土質改良機に投入する作業にSmart Construction Teleoperationを使いました。初めての遠隔操作ということもあり、移動しながらの掘削とか法面をきれいに仕上げるような難しい作業は次のステップとして、まずはシンプルな積み込み作業から始めました。
施工シーン

土を運ぶダンプトラック

遠隔操作室

土質改良機に土を投入する遠隔油圧ショベル

中継室

Interview Section
Q
従来の建設機械と比べてどのくらいのパフォーマンスだと感じますか?
今井産業
5年目のオペレーターが約1か月間試行した結果、従来の施工に比べておよそ50%程度のパフォーマンスにとどまりました。遠隔操作ならではの操作感の違いや、視覚・触覚情報の制限が影響していると考えられます。 とはいえ、今後オペレーターが経験を積み、遠隔操作に熟練していくことで、徐々に差は縮まっていくと期待しています。特に、作業内容に応じた適切な運用方法を確立することで、効率性の向上が見込めると感じています。
Interview Section
Q
遠隔操作ですが、ネットワークのつながりや操作性はどう感じましたか?
今井産業
建設機械と遠隔操作するコクピットは2.5km離れていましたがネットワークは問題ありませんでした。操作についても、何日か試運転を行う必要はありましたが、慣れてしまえば特に支障なく扱えました。感覚としてはわずかな遅延がある程度で、慣れると気にならないレベルでした。
通信関係

遠隔操作室

遠隔操作室

中継室

中継室

Interview Section
Q
実際に使ってみて感じた課題はありますか?
今井産業
課題は奥行きの感覚がつかみにくい点が挙げられます。遠隔操作では視覚情報が限られるため、細かな位置調整にはある程度の操作経験と慣れが必要だと感じました。また、建設機械からの振動や抵抗感といったフィードバックが得られないため、特に初期段階では操作に対する不安が残る場面もありました。ただし、積み込み作業など比較的単純で繰り返しの多い作業においては、問題なく活用できると実感しています。今後は、操作支援機能や映像の工夫によって、より直感的な操作が可能になることを期待しています。
Interview Section
Q
今後のチャレンジはありますか?
今井産業
今回は操作の難易度などを考慮し、試行には至りませんでしたが、法面整形や通常の掘削作業への応用を検討しています。また、ICT施工や、より高度な施工管理が求められるICT施工StageⅡでの活用にも挑戦していきたいと考えています。 遠隔操作技術の可能性を広げるためにも、現場の声を反映しながら、段階的に適用範囲を広げていこうと考えています。
Interview Section
Q
今後改善してほしい点はありますか?
今井産業
改善点として、まず建設機械の点検作業があります。現在は点検のたびに現地へ赴く必要があり、遠隔操作の利便性を十分に活かしきれていないと感じています。自動点検や遠隔での状態確認が可能な仕組みがあると、運用効率が大きく向上すると思います。 また、通信品質に関するアラート表示が分かりづらいため、より視認性の高いインターフェースや通知方法に改善していただけると、現場での安心感が増すと感じています。 安全面に関しては、立入禁止範囲の設定や有人機械との競合作業ルールなど、遠隔施工に特化した統一的な安全基準を国土交通省が主体となって整備することを期待しています。全国的なガイドラインがあれば、現場やメーカーの判断任せではなく、より安全かつ効率的な運用が可能になると考えます。
Interview Section
Q
導入後、現場でどのような変化がありましたか?
今井産業
オペレーターは現場に行かずに作業できるため、騒音や粉じんの影響を受けず、ヘルメット不要で服装も自由です。また移動も不要なので往復時間も削減できました。今後1人の現場オペレーターが複数の現場を兼任できることに期待しています。
テレオペ前後

遠隔施工による、労働環境・作業環境の抜本的な改善

BEFORE
屋外の過酷な現場環境で、騒音や粉じんにさらされながら建設機械を操作。天候や暑さ・寒さの影響を受け、ヘルメット着用が必須なうえ、移動時間も含めて身体的負担と安全リスクが常に伴っていました。
Beforeのイメージ
AFTER
現場へ行かずに作業が可能となり、騒音や粉じんの影響を受けることなく、ヘルメットも不要。移動がなくなったことで往復時間を削減でき、将来的には1人のオペレーターが複数の現場を兼任する、新しい働き方が期待されています。
Afterのイメージ
Interview Section
Q
導入後会社全体にどのような変化がありましたか?
今井産業
遠隔油圧ショベルの導入は、会社全体に多方面で前向きな変化をもたらしました。まず「中国地方初の導入企業」として注目を集め、自治体や発注者からの信頼が高まり、ブランド価値が向上。メディア露出や講演機会も増えました。また採用面では、若手やICTに関心のある学生からの応募が増え、「新しいことに挑戦できる会社」として魅力が伝わっています。さらに社内でも技術革新への意識が高まり、現場から新技術への提案が自然に生まれるなど、挑戦を歓迎する文化が根付き始めています。
Interview Section
Q
導入に際して他の企業にアドバイスできることはありますか?
今井産業
他の企業にぜひお伝えしたいのは、事前準備の重要性です。特に初めての導入となる場合、操作性や安全性に対する不安が現場から出ることもありますので、事前にデモンストレーションや操作研修を行うことで、スムーズな立ち上げが可能になると思います。 また、通信環境の整備も非常に重要です。遠隔操作には安定したネットワーク回線が不可欠ですので、現場の通信状況を事前に確認し、必要に応じて中継機器などの設置や各種回線を検討することをおすすめします。 最後に、導入時の運用ルールの明確化もポイントです。誰が操作するのか、どのような業務に使うのか、立入禁止措置などの安全ルールを明確にすることで、トラブルを未然に防ぎ、効率的な運用ができると思います。
成果
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労働環境・作業環境の大幅な改善
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多様な人材の活躍/若手・ICT人材の注目
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対外的なPR・企業価値の向上
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